ヘキサードが子を持ちたいと嘆いた 彼女ももう20代を過ぎた、勿論コンも同等に あんなにちまっこかった崇君でさえ20代、あれから“何事も無く”随分と大きくなった 霊体で存在してる私とサキからすりゃあ、時の流れなんてほんと一瞬で、もうそんななのかと驚くばかりだ。 ただ普通なら喜ばしい事この上ないイベントなのだが… 問題はヘキサードが子を宿せない体質だったのだ。しかも相手はコンラード。 だいぶ前に月経の異常があり、検査した所、卵巣に異常が見つかったのだ 最初ばかりは落ち込んでいた様子だったが、考えがまとまってから閉じ切っていた感情を露わにし、常に隣にいたであろうコンにアプローチしていった アプローチっていうか…見た感じ奇襲をかけて捕食しに行ったようにしか見えねぇ感じだった 尻に敷かれるコンは面白かったし、ヘキサードは生き生きしてたし、初夜らしい初夜を迎えた朝はすっかり疲れ果てたコンが転がっててファイヤドと2人で大爆笑したもんだ あいつをここまでさせるのはすげぇよ 流石にアダマンドまで乱戦しそうだったので止めたが、いや、あいつの体調とか…ヘキサードの心情とか…な? いや嫁を取られるとかじゃないぞ?元はあいつのだし…うん。 そんなこんなでしばらく妊娠しない事をいい事に遊んでるらしいんだが(プライベートだし深追いはしないよ) やっぱり旧世界から続いてる意識があるらしく、特に“彼女”らは家庭を望む 我が子を抱き抱えたい。 きっとその思いは昔っっっからずぅーーーーーーっっっっっっとあったんだろう ヘキサードも同じく思ったようだ。 だからこそ、私に相談してきた。 ヘキ「と言うわけだルイス。お前ならちゃちゃっと変更できるだろ?」 ルイス「ちゃちゃっとって…あんま世界構成いじっちゃ不味いだろうが…てか…それ私に言う…?」 ヘキ「お前しか言う相手居ないだろ?どーうせあいつは“遺伝子残したくなーい”とかほざいてはぐらかす。もういっぺん首絞めたろか」 ルイス「プレイ内容匂わせないで。 …まぁ…やっぱ“化け物”名乗ってるからなぁ… 実際私の子…は魂がってのはあるけど、やっぱり能力者に育ったし、それらも含めてイレギュラーを増やしたくないんじゃないかなぁ… …子を産んだら、どうするの?」 ヘキ「無論、強く育てるさ この世界に残る事が問題なのであれば、人としての死後、あっちのドアに連れてくよ。多分できるでしょ」 ルイス「“君達の世界”…か…でも君の子である以上にコンの子でしょ〜?絶対何かしそうじゃん…正直怖い」 ヘキ「だから私が相手なのだ。子ごと支配下に置く、私が女王だ。問題など起こさせん」 ルイス「…まさか君ら“6”が子を欲しがるのって…支配下に置く存在を増やすためとかだったりする…?」 ヘキ「…さぁな?あながち間違ってないかもしれんぞ?」 ルイス「怖ぇ〜…さてそうした場合…多分魂もこっちの世界の使わない方が身のためだよな…ヌルが余ったの持ってるかもしれん。 余ったのっていうか…本体から分けてもらうって感じ」 ヘキ「うーん、純粋な我が子になるか不安だが、この際仕方ないか… 産むことは出来ない。からの要望だしな…」 ルイス「そうね…ま、とりあえずやってみるよ」 ヘキ「さんきゅ」 と言うことで至って否定的な思考も持たずに、彼女に子を宿せるよう、生体データを書き換えるようにしたんだ なんでかって?そりゃやっぱり、アダマンドので“彼女”らの辛さは経験済みだし、あいつも一回“ちゃんと子を持つ”経験をさせたい所。 したらもう少しこう…性格もいい感じになるんじゃねぇかなって いやぁ今ですでにだいーぶ丸くはなったけどな?感情データを戻した段階で、家庭を築く経験は必要だと思うワケ ルイス「ってことで絶対バレないよう調整し、ヌルにも協力を得て、1人だけちゃんと赤子を産める様に変更させました」 コン「馬鹿野郎」 流石足癖悪コン。蹴り上げで顎を外し、流れる様に踵落としが決まる。いてぇ。霊体になっときゃよかった ヌル「魂もちゃーんと浄化済みやで!!」 コン「そういう問題じゃない」 ルイス「…いやぁ…だぁってお前…ヘキサードの気持ち考えろよな?」 コン「私の意思は????????」 ファ「日頃の行いだな」 コン「いいのか?そんな悠々として…“私”だぞ?“私の子”だぞ?君など有に利用し、欺き、私利私欲のため君を朽ちさせるのも容易だろう???」 ファ「腹立つ。正しそうなのが余計腹立つ」 ヘキ「そうならん様、私が支配してやろうって話だと言ったろ?」 コン「加えて“彼女”の子だ!!喉笛噛み千切って遊ぶぞ??!??」 ヘキ「うるせぇ口だな」 コン「んん゛♡」 ルイス「そこキスとかで塞ぐんじゃ無いんだ口」 ファ「速攻首絞めに入ったな」 ヌル「あら過激」 コン「ケホ…状況は理解したさ…全く…君は…! そもそもそうした変更を加えて世界構成が変わるかどうかのテストなどはしたのかね? していないだろう。していないに違いない」 ルイス「しっ…シテネェケド…」 コン「ほらみろ!!!!!何が起きても知らないぞ?!?!テストしてない環境で動かすなど…!!!」 ルイス「やってみりゃあわかるさ!だめなら書き直す!!!!」 コン「………お前。そういうとこ。キライ」 ファ「コンの語彙力が負けた」 ヌル「ルイスはんは昔からこうやから…」 ヘキ「というわけで子を授かった、お前は父親だ、よろしくな?ダーリン」 コン「嫌ですハニィ〜。そもそも君そういうの嫌いでしょ?レディ?」 ヘキ「ウワァーーーー返された嫌〜」 ファ「わっかんねぇ世界…」 ルイス「あー…と…ちなみに今見る限り多分男の子だと思うのよ、この子」 コン「嘘でしょ?まだ膨らみもうっすらでしかないのにわかるの君。気持ち悪」 ルイス「ヒデェ!!」 ヘキ「て事で名前は男性名だな、どうする?2人文字って、なんとかドにする?まるきり替える?」 コン「…まるきり変えようか。万が一、彼のみの人生を歩む時、我々が足枷にならぬ様…ふむ、サム。だね」 ヌル「おん?Sam…?名前に”彼は神様“てつけはるんか?おまんらしくない」 コン「そっちじゃないさ、“サムワン(someone)”の方から取る。“誰か”でしかない子」 ルイス「お前なぁ…」 コン「この子が“主役”になったら、どうせ大変だろう?“誰か”になればいい。そうしたら、“誰にでも”なれる」 ヘキ「…お前もそーゆーとこよなぁ〜、もっと舞台演舞気にしないで人生生きたら?」 コン「何を言う、これが私の選んだ人生だが?」 ヌル「ちゃんとおまんらしかったわ」 ヘキ「まぁいいよ。いい響きだし、名前などいくらでも変えられる。後はこの子が選べばいい」 ファ「本人らがそれでいいってんならいいけどさぁ…」 コン「そもそも私は子を成すことを良しとしないけどね????」 ヘキ「うっせぇぞおらぁ(ベキィ」 ヌル「母体をあんま強う動かさんときぃ?!」 ルイス「あらまぁお熱いこと…」 ファ「…それで済ましていいのかこれ…」 そんな事があって、サム君は無事に産まれた 出産時の辛さを語るヘキサード、同意するアダマンド。羨ましがるコンラード。なんだこれ サムは当たり前だが純粋無垢、正直可愛い ただ、めちゃくちゃコンっぽい顔してる、これは遺伝子残したくない気持ちもわかる 変な性格に歪まぬ様、あの部屋でみんなで育てた、笑って、泣いて、怒って、楽しんで きっとコンラード…いやコンスタンスも環境が悪くなきゃこう育ってったんだろうなって思うと、なんとも言えない感じになるが、そうなってたら私達は会わなかったし、こんな未来が生まれる事も無かった。複雑。 勇君も崇君も時々遊びに来る、まだこの年で君のサッカーは難しいんじゃないかなぁ…www 崇君だって、悪魔から守るだのでワキワキしてる。安心しろって、こいつらの子だぜ? このまま、何事も無く育てばいいな この空間は、とても良い やっと、なんだか望んだ世界に近付いた気がする。 何事も無く育ったサムは、ちゃっちいコンみたいになった サム「どうですか!ルイス叔父さん!私(わたくし)の生み出したこの構成は!!」 ルイス「懐かしい感じ」 サム「またですか!!ンィーーーー!!!」 なんともまぁ…これが可愛いわけで… 無論殺戮系に目覚めぬ様全力で死守した結果、パズルや小説、マジックなどにハマっていった 少し演技がかった喋りをするも、学校では控えめにしているらしい。こっちが素なのか サム「あぁ!父上!!こちらっ!!」 コン「捻りが足りない。人質でも吊るしたら?」 ファ「ノン!!!!!(鉄槌」 サム「ファフ叔父さんっ…!!!(半泣き」 父上呼びも、外ではお父さん呼びらしい そう呼ぶと逆にコンがモヤるのがまた面白い 未来「サム君!!!!これっ…ほんとどうやんの…?!」 サム「…おや?お嬢様、どこで手詰まりで…?ふふん、進んでおりませんねぇ〜」 未来「嘘ぉ?!だっ…一回いい感じに進んだんだよ????」 サム「ここ、先程と同様で…」 未来「…んぁああ!!!ほんとだぁあ!!!」 困惑する相手の顔を見るのが好きらしい 良かったよほんと、真っ直ぐな感性で… コン「…私もああなったかも。って考えた?」 ルイス「…ちょっぴりな」 コン「ふふ…こうであったら、幸せであったろうが…あまりにも違う人生だったろう そもそも…こんな結末に顧客は満足しなかったろ?ヌル君」 ヌル「せやな…知らんけど」 ルイス「…覚えてなきゃ意味ねーもんな」 ヌル「そうなんよなぁ〜!!!ほんま悪い事したんけど、ワイ知らんねん…すまんのぉ…」 コン「なに。私がこうであったから、この話が成り立つのだろう?」 軽い談笑で盛り上がる。 私だけ、一瞬の言葉に曇りが混ざる そう。覚えていなければ、意味はない サムとは別方向で問題が起きていた 話はヘキサードが子を欲した時に戻る ファイヤドの「娘」がいなくなったのだ 彼女も特殊魂だ、死して消える事は無い ”ログアウト”したのだ。 別の塔(アカウント)である以上、何が起きても仕方がない。かく言う私の弟だって、急にログアウトし、姿を消した。 自分で言うのもなんだが、私の精神性は何処か抜け落ちている 本来悲しむべきなのであろうが、「どうしようもない」という思考で埋め尽くされ、考える事を放棄する 私の管轄下でないなら、どうにもならない ならばもう、どうしたって意味は無い 嘆くのは、時間の無駄だ。 …ただ、ファイヤドは違った。 旧世界の時からそうであった 彼は、彼の「傲慢」は“守護欲”だった 誰かのヒーローになりたかった 彼の護衛リストの誰1人でさえ、失う事を恐れた だから、消滅、死亡、ログアウト… それに直面すると、酷く絶望する 彼はまだ覚醒していない。 …系統はコンと近い、一つの絶望で能力が芽吹き、全ての可能性を一つの能力に費やす。 結果、失う絶望に触れるたびに、彼の炎は芽吹き始める。 「きっと。あれは芽吹かせてはならない」 かつて仮想空間で“それ”を目の当たりにしたコンは、ふざける様子もなく、ただ淡々と伝えた。 恐らく、己も含め、全て焼き尽くすのだろう だから、誰かがいなくなる度に、彼の記憶を消してきた 守れなかった罪悪感も、失った悲しみも 初めから無かったことにしてしまえばいい。 そんな彼の、唯一になってしまった愛おしい「娘」すら 彼の前から姿を消した 無論“今まで通り”記憶の調整をした ただ、7世紀から21世紀に共に存在してきた者だ、消し切れなどしない そんな中。「子供」が現れる ヘキサードの子宮内組織の変更 そしてファイヤドの護衛対象の差し込みの変換を行った。 違和感なく、感情の矛先がブレない様に “家族”になるように。「娘」の代わりに「サム(誰か)」をはめ込んだのだ 今まではなんら問題は無かった だが、サムが大きくなるにつれ、ファイヤドの違和感は増していく 気がつけば女の子向けの物を集めたり、明らかに小さい子への対応を無意識に行ったり… そしてそれ自身に疑問を持ち始めた 当たり前と言えば当たり前だ …仕方ない。今度コンに相談して、どう調整すべきか確認しよう しかし、何もかも、遅かったのだ ある日 ファイヤドは魔界にて不在、一応関係のないサキちゃんを他所へやって、それについて相談しようとした日 魔界にいるヌルから、緊急念話が届く 『速やかに、異界に避難しろ!』 ヌルの信号は、我々“1”の体にはよく響く コンが聴き慣れない呪文を叫ぶと、空間は裂け、中には異界の邪神、ニャルラトホテプこと「蛍」がその空間を開けていた サムと、ヘキサードとコンラードを押し込んでる間、ヌルは続けた 『時間稼ぎはもう限界や。悪魔ナメてた。終わりや、わてら選択…まちごうたんや… ほな…さよな』 言葉が途切れる手前、私も逃げ込み、空間が閉じる瞬間 余りにも大きな爆発が始まった 幸い爆風が来る前に、空間は閉じた 静かな異空間で、蛍が口を開く 蛍「…こりゃだめだ。核が落ちた」 その言葉で、私とコンは全てを理解した コン「…「落ちた」んじゃない。芽吹いたんだ」 ヘキ「…どうい…っ…」 コン「ゆっくりでいい。ルイス。全てを説明しなさい。」 ルイス「…」 コン「抱えるな、これ以上悪化させる気か? 主導権を私に移せ。そして、説明しなさい」 ルイス「…選択を…誤ったのか…?」 コン「それを。今から確認しよう」 聞く前から、少しはわかっていた 不可解なデータ改変 記憶の損失 ヘキサードの体質 ルイスの感情の壁 サムの出現… 全ての管轄IDを私、「コンラード」に変え 全てを知り、ルイスの過ちを許した。 …責められなど…しなかった ルイス「…消したはずの記憶が…感情が…何かによって呼び出されたんだろう。そうしたら“2度失う”事になるのは当たり前だ…」 コン「…その通りだ。私が相手を絶望に叩き堕とす時によく使う手法だ。…何故、その情報を私にすら適応しなかった?」 聞いたところで知り得ている。後ろめたさのない“家族”を得て欲しいなどど抜かすのだ ルイス「…後ろめたさのn」 コン「良い。演算通りだ、口を閉じよ」 ルイス「…」 コン「さて…サム。理解していないだろう?」 サム「えぇ、ただ一つ、とんでもない出来事が起きた事しかわかりません」 コン「よろしい。我々の能力は知っていたかね?私が“複製”、ルイスが“接続”、そして…ファイヤドが“破壊”」 ヘキ「…ブレインが“変更”だったろうから、恐らく私も“変更”」 コン「それは初耳だな…ふふ、さて。 私とルイス、恐らくヘキサードはかつての人生。“旧世界”にてその能力を開花させている 故にこの時点で既に力は使いこなしている だが彼は、エイダン・ファイヤドは違った 彼は全てが途中だった。舞台も、能力も…死ぬことすら…ね だからこそ今、開花させた時、今出せる全ての火力…核融合を発動させたのだ… …今あの世界を見れるかい?蛍君。もちろん干渉はしてはならない」 蛍「できるよ。まぁあんたのわかってる通り。もう命一つない焦土だ」 …窓から外を見る様に映し出された故郷 故郷とは思えない、灰とガラスの土地 …本当に…魂すら残っていない コン「…そう…か、彼の威力は“悪魔”である事も影響しているのか」 ヘキ「…全て…悪魔に喰われた様な…死神も…天使も…悪魔すら…何も…無い…」 コン「目に焼き付けなさい、サム。これが“終わりの風景”だ」 サム「…」 ヘキ「…!爆心地、白黒の炎がある」 ルイス「…!ファ…」 …違う 蛍「あぁ、もうダメだわこの星。」 ルイス「…駄目…とは…?」 蛍「例え数億人の人間や生命なんかが消し飛んだところで、ウン万年すれば生命溢れる土地になるもんなのよ、星ってもんは。 けれどアレは、星の命すら吸い尽くした。 ごらん?今はあの島国の一部だけで済んでるけど、あの黒い炎、輪の様に広がってほら、やがて世界を燃やし尽くす」 サム「…止める事は…?!」 蛍「無理。もしもあの炎を止められたとして、この星は死んでいる。何を書き換えようとも、反映する事は無い。ただゆっくりと、破滅に向かうだけ」 ヘキ「…手遅れ…か」 蛍「…この世界は、ね。君達の覚悟と努力次第では…救える世界は存在する」 コン「…世界自体が終わってしまえば、いくらバックアップ復元をしようと…」 蛍「時間旅行。に興味は無い?」 ルイス「…時間…!!」 蛍「そう。今から過去に干渉して、この未来を回避する。本来時間警察に文句言われる所だけど、私がいる。代償としては、この世界に残っている全ての命の消滅、そして君達の存在定義する場所の消失。になるけどね? 場所ならコンラード君。君の力でなんとかなるだろう?」 コン「…ルイス。罪を重ねて、生き残ってる彼らに安らかな終焉を与えるのに、抵抗は無い?」 ルイス「もう…。無い。それに、ファイヤドに殺させるか、私が殺すかの違いでしょ? やるよ」 コン「…よろしい。では方向性は決まった。 あの炎が新たに生命に触れる前に、進行を決めよう」 そこからは、ほぼノータイムで決まっていった 時間旅行には莫大なエネルギーを使用する。しかし、そこはこの世界全ての命の時間を消費する事で賄える 生存者は、温かな夢に微睡みながら、当たり前の明日を見て、誰も災厄を知る事なく、眠る様に命を閉じる。 タイムリープものにありがちな、同一個体の異時間の併合を防ぐ為、全て…全てを終わらせる まさかなんの余興もなく、この世界自体を手にかけるとはね… さぁ、問題はこの後だ 蛍「時間旅行は全員行こうが誰が行こうが問題は無い。ただ、その時間に干渉するとなると…話は別だ 同一個体の接触は、別の歪みを生じさせる。できる事ならば、君達が居ない時空に干渉しなければならない。そしてかつ、あの炎が産まれない様な直接的原因を変えなければ意味は無い」 コン「そうであるならば…」 ルイスが個人的に世界を変える前…いや彼女が消える前に行ければいいのだ。 まず私は不可能、1世紀よりこの世に存在し始めてしまった。そこから変えるとなると、余りにも振れ幅が大きい、別の厄災が生まれる可能性がある 同じ理由でルイスも不可能。彼は7世紀 ヘキサードは21世紀からとはいえ、30年近いとブレも激しい 故に サム「…えぇ、父上。私がおります」 この世界に新たに産み落とされた、魂すら新しい“誰か” ヘキ「…最適なのはそうだ、だけど!まだ20にもなっていない子供だ!…それに…」 ルイス「過去に干渉させれば、以後サムが産まれる可能性は無くなる …彼は未来に行けなくなる」 コン「だからさ」 ヘキ「…だからだと…?!てめぇ!!!」 コン「だからこそ、彼は“唯一な誰か”になれる」 ルイス「…?」 コン「この時点でIDを変える、この子はあの世界に存在していない者になる。 故に、過去を変えようが未来を作ろうが、“この子”に影響は及ばない。「未来で生まれるはずの子」ではない。唯一無二の「サム」なのだから」 サム「…母上、私は“ここ”にいます。それに…ファフ叔父さんが世界を壊すなど…あってはならない脚本です。…私が変えられるのであれば、やるしかないでしょう?」 …声が震えている。演者としては、まだまだだなぁ…仕方あるまい。 コン「そしてサムが過去を変えにいくのであれば、状況を整理する為の“家”が必要でしょう?」 ヘキ「…?」 コン「はぁ…察しが悪いねぇ、彼の一つの未来を捨てたのだから、私の未来も同等に捨てるのが、同舞台でのキャストの役割でしょう?」 サム「…父…上?!」 コン「この空間を、または私の作成した空間をサムの家にする。世界をずらした結果を持って、サムはここへ“帰って”これる。 そして一度、終末の来た世界に当てていたストレージを解放して、サムが持ち帰った変更を加える世界の記録を残す。なんなら全並行世界の更新データを収集し、結果を測定。 一つの世界を任意の方向に矯正することも可能だろう。 その為の空間を、私が作る」 蛍「つまり、君は時空の狭間に固定される。という事だね?」 コン「その通り。未来も、過去すら無い。 “時間”の概念は存在するが、“話”は進むことの無い空間だ… そしてサムはその狭間から任意で外に出て、矯正世界に干渉し、またその世界の住人とのコンタクトも測れる …この厄災が回避された暁には、サムをその世界に送り出し、そこの住人として生きながらえさせる事も可能だろう さぁ。未来亡き道はどっちだい?」 ヘキ「…お前…」 サム「嫌!!!ヤです!!!!ここからは離れませんよ??!?!そっ…そっちの世界がうまく行ったら、両方行ったり来たりしますもん!!父上は父上ですもん!!!!!!」 コン「ほらこうなるから…言葉を濁してたのに…」 ルイス「…変わっ…たんだな…」 コン「変わってないのは、きみだけだ」 ルイス「…」 コン「さぁ。私は彼と運命を共にする。 “私”の台本は白紙どころか書く場所も無い終わった本。 ただ、彼の家として、全ての並行世界の更新データを集める為だけに存在する。 …だがサムが向こうに行ってる間のひとりは寂しい。誰か手伝ってくれる人はいないかなぁ?」 ルイス「…はっ…調子狂うな…無論私も残る。…ここからはお前に従うよ、なんならシステムに戻したっていい。変わってみせるさ…」 コン「…期待してるよ、でh(メキャッ」 ヘキ「私を置いて息子と抜け駆けで運命共同体とは笑えねぇな馬鹿!契りを交わした日を忘れたかクズ!!」 コン「…な…泣きながら殴られても…」 サム「母上…ははうえぇ〜!!ちちうえ死んじゃう!!!」 蛍「…この空間使うってんなら、死すら存在しないから大丈夫よ〜、君達の肉体データはいずれ、ここに来た時の姿に収集される。 元に戻るって事だ!」 ヘキ「よぉし!!!!!」 ルイス「あちゃー…元に戻るって事は…変わる事は出来ないかな…?」 蛍「中身はしらん、本来時間に縛られるのは肉体だ、例えば同じ8時間の睡眠を取った人間がいると思いねぇ 片方は全然夢を見ない、もう片方は体感3日分の夢を見たとする。中身の精神時間は同じと言えるか?」 コン「なるほど(吐血中」 蛍「何かに夢中になってたら思ったより時間が早く進んでる!!ってのもそう、本来5時間経ってるのにその時は中身の時間は3時間程度だったら、残りの精神時間2時間分猶予があるだろ?趣味のある人が若いってのはそういう事 つまりさっき言った、時間は進むが話は無い。は 「物理的時間概念が存在しない」けれど 「精神的時間概念は存在する」となる」 ルイス「…中身の成長は出来る…って訳か」 コン「お前が成長しようと思えば…ね」 サム「じゃあ…私だけ…世界に干渉している間、肉体が滅んでいくんですか…」 コン「んふふ♪どっちがいい?与えられた“人間”として生きていくか。私の様な“化け物”になるk」 サム「化け物で!!!母上も化け物になれたんですよね!今!!」 ヘキ「ん?!??!…そうかそうなるな… エ゛ェーーーそうかなっちゃったか…んふふお揃い」 ルイス「…案外なりたかったのか」 コン「…選択肢は用意したのよ?…本当にいいのかい?」 サム「はい。私はあなたの息子ですから」 コン「………はぁーーーーーーーお前絶対許さないからなルイス」 ルイス「何に対して??!どれのやつ??!?やらかし多くてわかんねぇ!!!!(ガチ泣き」 蛍「あっはっは!でもまぁ、話がまとまれてよかったよ。 安心しな、その世界がこの日にたどり着いた時、受け手側が耐えられるのであれば、君達の精神を捩じ込むことも出来ると思うよ? その時になったらまた考えていいと思うけどさ」 サム「…合わせる事が…出来るんですか?」 蛍「勿論!私は邪神様だよ?人の耐久値がどうなるか知らないけどね」 コン「ふは…ヘキサード君以外なら大丈夫だろうよ」 ヘキ「うるせ、絶対あたしは耐えて受け入れる」 サム「じゃあ!じゃあ私は今の我々と過去の我々を結ぶ合計(sum)になれますね!!」 コン「…ん…ぉ…そうだね」 ルイス「サムが先手を取れた!!」 ヘキ「一歩前進!!!凄いぞサム!!」 サム「えへへ!!!!」 コン「……やれやれ、先が楽しみだ。 さぁ、動きは決まったね、“家”の創造はルイス、君に任せていいかい? より安定して作れるのは君だろう」 ルイス「ん、…ん?命を止めるのをやるんじゃ…」 コン「君の意思が聞きたかっただけさ、それに折角なら、一度世界を終わらせるなんて事は私がやってみたい。というわけで私が殺してくるよ」 ルイス「お前…あぁ、わかったよ…ありがとう」 コン「礼を言うな、…あえてなら止めないが…で、ヘキサード君…君はどうする?」 ヘキ「基本的にあんたらのメンタルケアじゃん?未来は無いが…飯とか作ったり出来る?食う意味は無くても、食卓を囲む事は精神の安定に繋がる」 蛍「なんでも出来るよ!なんならコンラード君の仮想空間に近い。実機運用が出来ないテスト環境みたいなものさ、望めばなんだって手に入るし生み出せる。まさに夢の世界さ」 ヘキ「じゃあ“家庭”を作るよ、サムの家はお前の家でもある。お前も家族だ。勿論ルイスもな、お前の帰る家も必要だろ?」 コン「ぐ……!!!それっ…!…そういうの苦手だって知ってるでしょうが!(涙目」 ヘキ「へーんだ!!さっきの仕返しだぁ!!」 コン「…ッズッ…じゃあ、任せた!…では蛍君… 力を貸していただく、世界を終わらせよう そうしたらサム、これから何を伝えにどこにいくか決めよう」 サム「はい!父上!!」 蛍「…いいねぇ、他人の絶望を望んだ君が、世界を救う男になるなど」 コン「ふふ、堕とす人がいない世界なんてつまらないでしょう?それに…救うのは私じゃ無い。 “存在している事”を表すサム(some)だよ」 蛍「おや?へへ…あの子に言ってやらなくていいの?」 コン「今は追いついた気のままでいいさ、いつかわかる」 蛍「父親だねぇ〜」 コン「どうも」 蛍「さ。終わりを始めるよ、君のPOW(精神力)は十分?」 コン「無論。十二分さ…では…終焉だ。 さぁさぁ皆様、公演終了時間だ。お荷物を忘れないで。我々を忘れないで。お家に帰るのだよ。さようなら。またいつか」 舞台は幕を閉じた、ライトも命も消えた でもこれは私の序曲 これから、これからはこの私 サム・ラトクリフの舞台 それでは皆様、開演の拍手を 私が直々に、夢から真に この世界を変えて見せましょう 「やぁ皆様。ご機嫌よう!」 _ED_もしくは21世紀★魂還R旋_全体03「未来から過去に干渉するお話」に続く