小さな本の内容 昔からあるお伽話みたいなもの マイナーらしくて知る人が殆どいない…どうしてこれが図書館にあって、僕が気になっちゃったんだろう(崇) _________________________________________ 昔々、悪魔に呪われた王国がありました 王様は悪魔に呪い殺されてしまい、王国は崩壊寸前でした しかし、すんでのところで1人の騎士が悪魔を退治しました。悪魔の霧は晴れ、騎士は国を守り、やがて騎士は王様になりました。 けれど王様は「自分は王になるべきでは無い」と言いました 来るべき王が来るまで、王様はその席を守ろうと言うのです。 その国はとても素敵な場所にありました 他の国のみんなは、その国が欲しかったのです 一度崩壊した国民は疲れ果てていました 平穏が訪れるならばそれでよかったのです 「王様」になりたい人達は沢山の貢物と 自分は王に相応しいというお話をもって王様の所に向かいました 王様はとても喜んでみんなを受け入れました 王様はみんなの話を沢山聞きました 王様はみんなを城の隅々まで案内しました 誰が次の王になってもいいように 次の王は国民に決めてもらうようにと思っていました 王様は一つの部屋を紹介しました かつての王が死んだ、悪魔を退治したお部屋 王様は笑いながら軽く悪魔のお話をしました みんな興味津々に聞いていました 1人がその床を踏むまでは あら不思議、床を踏んだその人は床の中に落ちてしまったのでした! 勿論床は壊れていない、まるで床に吸い込まれるように消えてしまったのです これには一同はびっくり! でも一番驚いていたのは王様でした なにせ自分はその場に落ちる事なく立っているのですから! どうしたらいいのだろうと悩んでいる時に、別の人が言いました 「彼は悪魔に飲まれたんだ!」 そこからその国には噂が立ち込めました 悪魔に許されたものしか王にはなれないと! 王様は困ってしまいました けれど、その状態も楽しんでいました 召使を1人遣わせて、王様と2人きりでお城に住みました。 そうして、この道を通り抜けられた者が、真の王様になるのだ。と、高らかに世界に伝えました それからずっと、王様の座を狙う人が挑んでいきました 面白半分に来る人、本気で挑む人、口封じのために放り込まれる人… けれど誰も、床を越えることが出来ませんでした 他の部屋は大丈夫だと知った人達の中で、召使いとしてお城に働きにくる人も居ましたが、誰1人としてその部屋には近付きませんでした。 王様は年老いてしまいました 自分が死んでしまう前に次の王様を見つけなければならないと、王様はひどく悩みました そんな時、少し遠くの国の王様とお妃様と王子様、その召使 そして魔術師を連れた一家が、王様の所にやってきました 王様は二つの国を統べるのかい?と不思議に思いましたが、それもまた面白そうだと一家を受け入れました 別の国の王様は自信に溢れていました 何せ全ての出来事が、連れてきた魔術師によって予言されていたからです。 そしてその予言は必ず当たり、必ず得をして来たからです 魔術師はこう予言しました 「我が国が、あの国を統べるでしょう」 自信満々に告げる別の国の王様に、それは素晴らしいことだと王様は喜びました けれど王様はわかっていたのです 魔術師の言う次の王は、王子のことだと 別の国の王様は沢山の贈り物をしました 国民も大喜びで次の王様に期待していました 王様はとてもとても楽しそうに喜びました 王子と召使は少し不安そうでした 王が選ばれる日、その日はいつも霧が立ち込める日 その部屋には誰も入れてはならない 王様と側近の召使、そして王様になりうる人しか入れない場所 今日は特別に、魔術師と王子と王子の召使が居ました 王様は、別の王様とお妃様、2人に同時に足を踏み込むことを勧めました 魔術師の言うことが本当ならば、必ず立てるのだと 嘘ならば、私を騙した罰として落ちるだけなのだと 王様は自信に満ち溢れていました お妃様は少し怖がっていましたが、王様と共に進む事にしました けれど王様とお妃様は落ちてしまいました 王様は次に王子を呼びました 王子はその場に震えるも、凛とした表情で床に踏み込みます するとどうでしょう、王子はその場に立てたのです! 王様は拍手をし、召使は王が決まった事を国民に伝えました 王子はこうして二つの国を統べる王様になったのです けれど王子はまだ少年でした だから王子が正式な王様になるまでは王様でいなくてはなりません 仕方がないので王様は「老王」と名乗りました こうして老王と小さな王子は二つの国を統べる事になりました! 国民は大喜びで祭りをしました みんなが幸せに満ちました やがてその日の夜。 老王は静かに微笑んで、自分の召使と魔術師に「穴を塞ぐように」と告げました もう床が空いている必要は無いからです 床には魔界にそのまま落ちていく穴が空いていたのです 召使と魔術師は悪魔でした 老王と小さな王様、そして王様の召使は悪魔の友達でした 沢山の落ちていった魂を拾って食べていた召使の悪魔は、老王のお願い事を叶えました 「我が国の平穏と、この座を欲しがっていた王国の破滅を!」 やがて次々と周りの王様が死んでいきました 老王と小さな王様は途方に暮れた王のいない国民を救い、支援をし、声をかけ… やがてこの国は広い土地を、周りの王国を征服していきました 老王は征服の為に悪魔と契約していたのです 本来であれば、かつての別の国民は怒るでしょう 神の怒りが鉄槌を下すはずでしょう しかし老王が亡くなる時、国民は全員心から涙を流して老王を見送ったのでした 病も呪いも大きな怪我も無く、老王は寿命を迎えました。 悪魔と国民に愛された老王は、微笑みながら静かに息を引き取りました 老王とその召使が居なくなったのち、王様と召使、そして魔術師は老王の意志を継いで、この国を末長く納めたのでした。 悪魔に呪われた王国は、悪魔に愛された王様が統べる限り、平和が続いたのでした。 悪魔は退治されていたのでしょうか? それとも違う悪魔がいたのでしょうか? 魔術師は最後にもう一つ予言しました やがて老王と王様は生まれ変わり 悪魔が伸び伸びと生きれる世界が生まれるだろう さぁどうだい?読者君