【よその子】高校卒業後、ルイスの家に残された一通の手紙
お父さん、お母さんへ
僕が家を出るのはきっと知ってると思い、手紙で伝えます。
まず、2人のことがキライになったわけではありません。
むしろ自分がキライでした。
間違えていなければ。
いつもどこかで思っていました。
けど
顔には出ないけど頑張っていたり心配してくれるのが分かるお母さん
小さなことでもよろこんでくれるとっても頼もしいお父さん
間違えても、その先でいつか普通の日々が取り戻せる
_そのことを教えてくれたのは2人でした。
___本当にありがとう
ただ、これを直接いってしまうと家から出たくなくなると思って言いません
これからはココ君と長い船旅をしようと思います。
ぼくらが、お父さん達がずっと幸せであることを願っています。
タルト・ターコイズ
ココアさんの旅立ちの続きの話、その後もいっぱいやってる事多いんだけどとりあえず最期まですっ飛ぶ
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ルーイズ「手紙、見た?」
アダマンド「あぁ見たさ、想定通りだったよ、昨日の晩御飯をご馳走にしといて正解だったな」
ル「いそいそと準備してたもんな…まぁココ君がいるから大丈夫でしょう」
ア「お前のへそくりは彼に渡しておいたぞ」
ル「ヌァーー!!!出そうとしてなんかねぇなとは思ったけどーーー!!!!!!」
ア「お前が直で渡してしまえば彼も揺らぐだろう?口座だっていつまであるかわからない」
ル「ぐぬぅ」
ア「…さて。ルーイズ。これでまた2人になってしまったな」
ル「あぁ、良くも悪くも自由だ。どこに行きたい?私の寿命は2015年までなのだろ?そこまでどこにでも行ける、なんでも出来る。…何がしたい?」
ア「………お前は何がしたい?」
ル「私は割と13世紀くらい自由にやりたい放題してきたからな…特にこれと言ってやりたぁい!って事は無いよ、この後もいつでも出来るしね」
ア「そうか。限られてるのは私だものな」
ル「ま。寿命が決まってると言われたのは驚いたけどなぁ…君の台本、破れそうにもない」
ア「だろう。しかし。お前にはその後の台本がある」
ル「どんな?」
ア「…ひたすら頑張るだけさ」
ル「ヌァアアア約束されし労働」
ア「お前の死因はわからない。年は決まっているが日付もわからない。けれど15年、50歳の年にお前は死に、肉体を捨て、私は終焉を舞う」
ル「…そうだな、だからそれまで君の自由を優先しよう、悔いなき人生を踊るんだ、な?」
ア「ふ…そうだな…ならばお前と……まずは朝ごはんにしようか」
ル「だな!」
…お前が私の台本を知って、無意味に抗うかと思ったが、流石パーツの抜けた男。すんなり受け入れたようだ
でも密かに抗っているのだろう。隠しきれてない焦りが見える
ゆっくり行こう。あと大まかに10年
悔いのないようにか、難しいな
私に演目以外の悔いなど生まれぬのだから
だから
だからどこへも行かないさ、お前と共にいる
来るべき終焉まで
ルイスの終焉は本当にあっけなかった
その年の6月、仕事に向かう途中で死んだ
飲酒運転者が突っ込んだタンクローリーの爆発に巻き込まれて即死
事故だ
あいつは人の感情に強い
強盗や殺人などという事件には絶対的に巻き込まれない自信があった
逆に感情が干渉されない事象に弱い
タイミングが悪かったのだ、不遇な男だ
事故による被害は爆発の威力に比べて幸い少なかった、周りに人がいなかったからだ
死者は飲酒運転者とタンクローリー作業員、ホームレス1人にルーイズ。
だから葬儀は各自単体で行われた
私は葬儀でも泣かなかった
何せ本人が真横にいるからだ
ル「なん…人生ピタッゴラッスイッチ…♪(旗上げ)いやぁめっちゃ壮大な終わり方だったけどぉ…」
やめてくれ、笑わせるな、笑わないけど
ア「…爆破オチってサイテー(小声)」
ル「やめろよwwwww思ったけどさぁwwwww」
こいつは本当に抜けている
自由すぎて悲しんでいる周りの奴が可哀想だ
私が悲しんで震えてるように見えるのだろう。逆だ。誰かこいつを止めてくれ。目の前で棺から幽体離脱とかするな。もう離脱し終わってるんだお前は
ア「…散々な葬儀だった」
ル「いやーやっぱ葬儀って慣れねぇな、大抵隠れて死ぬ事が大半だからなぁ〜」
ア「こんなにも哀しみのない葬儀も中々無いだろう…さぁ、後始末だ」
ル「ココ君の口座は生きてる?」
ア「あぁ生きてる、今月の支払い額がリアルだな、ちゃんと食べているだろうか…お前の保険金も私の財産も全て送る準備は出来ている、家具や家も…総額凄そうだ」
ル「メッセージは送っとくよ、詐欺だと思われても悲しいし」
ア「そうだな、お前の椅子だけは頂いておくよ」
ル「え?いいの?君の舞台用でしょ?」
ア「これがいいのさ」
ル「そっか、わかった」
ア「それで肉体からの解放を行なったお前はどこに行くんだ?」
ル「無断運賃で彼らのいる日本にでも行こうかな、もしかしたら死神がついでに連れていってくれるかもだけど」
ア「そうか、2人によろしくな、私は台本通り、この舞台から降りるよ」
ル「…あぁ、死んだら抱きしめる体が無くなっちまうんだもんなぁ」
ア「しょげるな、安心しろ。何故だか知らんが、私が舞台を降りた後、空白が出来ている」
ル「え?」
ア「つまり、何かのタイミングで…どこかで…演じきれた“私”が存在するのかもしれない。本来であれば私の死後で台本は終わっていた。終わっていたんだ。けれど…」
ル「進められる…?」
ア「お前の足掻きが、こいつを変えたのかもしれない」
ル「そうか…そっかぁ!!色々ありそうだけど…希望はまだある…!」
ア「ゼロでは無い。とだけしか言えない。いつになるか、本当に会えるのか、アダマンドとして存在しているのかすらわからない…
けれど……私は未来で待ってる。」
ル「…わかった。必ず君がいるドアをこじ開けるよ」
ア「斧で壊すのはやめてくれよ?あれは心臓に悪い」
ル「悪かったよw…わかった、ノックするよ」
ア「あぁ、さぁ後処理を始めよう。お前とハグできぬ朝は少なく済ませたい、さっさと取りかかろう」
ル「ん!そうだな…気に入ってくれてたんだなぁ…」
ア「自惚れるな、ほら動け」
ル「エーーン!!死してなお労働!!!!!」
…それから全ての死に向けた準備を終えた
役所の人には止められたが、「夫を追う」妻の意思は強いものだ、誰も私を止められまい
入金も済んだ、子供らには安定した生活を送って貰いたいものだ
ルイスもさっさと他所へ送った
霊体でも悪く無い。そう思う前に、演じ切るのが惜しくなってしまう
これでやっと
私は1人
…コンラードは何を思うだろうか
…今度も笑ってくれるだろうか
ルイスの方が笑いそうだ
2人が笑っていたら、面白いな
さて公演だ
来れ、我が捕食者
私を喰らい、私を終わらせてくれ
「さぁ、我が願い。叶えよ悪魔」