蛇足な気がしたけどアティの過去話と螺旋の魂の元々の成り方、今後のルイスによる対アルデバランの意識の変わり方的な話っぽい
________________________________
アティ「…お礼に…って、この世界???はぁ???」
ルイス「まぁ細かいことは置いといていいんですよ。私はルイス。ざっと言えば、貴方の魂の形をヒントに異世界から逃げて来た異界者さ」
アティ「逃げ…まぁ深い事情があるんでしょうから…あんまり聞かないけど…私はアティティス。そんだけ調べてるなら知ってそうだけどね…
しっかしわざわざ本人のとこまで来て見る…ってのも変な人ねぇ」
ルイス「言ってしまえば…まだ不確定なんですよ。私達の魂の形状は…なので本物を見ておきたくてさ。
…貴方の魂はお兄さんを使用しているんだね」
アティ「…その逸話、何度言っても誰も直してくんないんだけど。私兄様を殺してないわよ」
ルイス「だろうよ。殺害されてた場合はそうはならない」
アティ「!」
ルイス「お互いの任意、もしくはお兄さんの意思が無ければそうはならないだろう。覚えてる範囲でいい、君の話を聞かせてもらえないか?」
アティ「…ここ1300年以上ここに居て、初めて話を聞いてくれる人に会えたわ…
…ほんとはねルイスさん…昔に言った時に馬鹿にされてたから言ったこと無かったんだけど、私と兄様はお腹の中でお話していたの」
ルイス「ほぅ、それは体が出来上がる前?」
アティ「…そ。まだ胚みたいな、両生類みたいな時だと思う、まだ目も開かない暗闇の中、兄様の声がしてたの。
私も声を出したの、音は出なかったけど、今で言うテレパシー?それでいつも外の世界は楽しみだねって話していた。
でもある日兄様が焦ってたの。“このままじゃ僕ら2人とも死んでしまう、パーツが足りないんだ”って
私はまだ何もできなかったから、どうしようもなかったんだけど、足りない部分は私の方が少なかった。だから兄様は自分の体の部位を私の足りていない所に補ったって言ってた。私の右足と左肺、そして心臓は兄様の物よ。産まれてから声は聞こえなくなっちゃったから、もしかしたら意識の一部もくれたのかも知れない」
ルイス「…母体内…まだ素体が確定していないような時期に既に行動していた…」
アティ「ま。私の肉体はもう灰だか土だかになってるから、確かめようがないんだけどねん。そこで5体満足に産まれて、生きて。当時の寿命よりかは短かったんだけど死んで…魂が重過ぎて運べないって言われてこの場に佇んでるの」
ルイス「…?…そうだな。本来この世界固有の魂であれば、還る場所は用意されているはずだ、それであっても君は…天界にのぼれない…?」
アティ「そ。貴方も同じ様に、私自身の魂はこの骨組みに組み込まれてずっと動いてる。本来の魂にはこんな変な階段に囚われず、所謂火の玉として存在してる。だからあいつらは片手で抱えて天界に持っていくし…悪魔は啜る様に捕食する」
ルイス「だが骨組みと言われる“永遠に続く階段”は現世との結びつきが強く、また悪魔の消化もしにくい素材である」
アティ「その為、天界に行く事も、そっから転生することも悪魔に喰われて消滅も出来ない。まさに“彷徨う魂”って訳」
ルイス「…私達は骨組み自体が軽いのか転生は行える。但し記憶は残したまま、近場に子を宿す母体がある事が必要だがな…そっちは?」
アティ「…うーん…転生はした事が無いんだけど、それが転生ダメなのか、近くにお母さんとなる人がいなかったからなのかわかんないや…死んでからもずっと避けられてきたから…」
ルイス「…人を呪い殺す…というのは?」
アティ「あいつら人ん家勝手に入ってギャースカ騒いで物壊してとかするのよ?!帰れ!!って怒鳴ったらなんか…物動いちゃったり事故引き起こしちゃったりして…でもその後ビビり散らかすの見てるのが面白かったから、来る人来る人みんな脅かしてたりはしてたんだけど…時々変な霊が居候しては呪って死神に怒られて回収されて…とかあったから、呪いの大半は私じゃ無いわね。でもなんかみんな怖かったのかいっぱい捧げ物してくれたのよ、この服もそう。可愛いわよね!
生きた子供を捧げられた時はどうしようかと思ったけど…一応生き物はいらねぇって帰らせたけどね〜その子がどうなったかは知らない…」
ルイス「大半が勘違いで構成された幽霊屋敷ってとこか…アティティス君は1300年近くずっとここで?」
アティ「…そうね、元々友人は少ない上に避けられてたから1人は平気なのよ、よく見てるとここから見える街は活気に溢れてていつも動いてるし…時折人間も来るし…あなたの様な魂ちゃんもやってくるから退屈はしないわ」
ルイス「そうか、お礼も兼ねて…と思ったのだが…合わないかもな…」
アティ「何?連れ出してあげようなんて王子様気取り?」
ルイス「ふふ…。私はただ世界を開いて繋げようとしているだけさ。
君のその魂…分解してあげようか?…と」
アティ「………分解…?」
ルイス「君のおかげで魂の構成は把握済みだ。結果私は…元ある構成能力によって己の体以上の存在、魂の集合点となる物質を“階段”とし、己の魂を“螺旋の魂”化させてこの世界に現界させた」
アティ「…なーんか、正真正銘特殊能力者って感じ?」
ルイス「そうだろうな、私にとってはこの世界は処理可能な文字列が見える。どこを書き直せばどのように変化して、また構成を変えるのか…それら全てが実行できる」
アティ「…世界を好き勝手に書き換えられる…?」
ルイス「そういう事だ」
アティ「…特殊能力者ってしても最強すぎない…?やば…」
ルイス「故に変更実行にはかなりのエネルギーや、バランス崩壊なんかが大いにある。故にぽこぽこ変えることはそもそもしないんだがな…さぁここで本題だ。私は魂の作成を行える。作り方がわかるということは分解の仕方もわかるという事だ。
君の魂とお兄さんの魂。個別になるよう分解し、両方天界へ昇らせる事も…理論上可能となる」
アティ「…てことは2人とも分けて、還って…2人で転生する事が出来るって事…?」
ルイス「そうだ。他の魂と同じように人生を謳歌出来る…どうする?」
アティ「………」
ルイス「勿論今すぐにということでは無い、私だって螺旋の魂。時々人として転生したりもするが、この場所なら大抵すぐ向かえる。いつでも君が望めば…螺旋からの開放が可能さ」
アティ「……ルイスさんはこの世界で何をする予定なの?」
ルイス「…生きていればいい。私達の還る場所が存在していれば…それだけでいいさ。とりあえず世界征服とか、混沌作成とかは私はする気は無いよ。………身内の1人がその気質だから危ないんだが…住む場所が無くなるような滑稽なことをするようだったら私が止めるさ」
アティ「…実は風の噂でさ、そんな世界征服とか企んでるっぽい奴がいるらしいのよ、この世界」
ルイス「…何?」
アティ「悪魔の内1グループだって、この間死神達が話してた。そいつらがこれ以上の事を行った場合、人はやつらの家畜となり、死神や天使は駆逐され、文字通り地獄が産まれるであろう…ってさ」
ルイス「…それは困るな。この世界は人間や死神天使悪魔が生きているのが醍醐味だというのに…」
アティ「醍醐味…まぁそんな感じで、最悪悪魔の世界になる可能性が残ってんのよ。そうなった時、悪魔に食べられない魂って最強じゃない?」
ルイス「そうだな、君がそれが気に入っているのであれば、解く必要はない」
アティ「気に入ってるっていうか…死んでるんだけどさ、私の魂が生きてる限り…兄様の魂も生きてるって事になるんでしょ?
こんな世の中でも兄様に会えて、兄様と話せたらきっと幸せだと思うけど…そうなった結果兄様、又は私が悪魔に食われて永遠に離れ離れ…なんてなったらひどく悲しいし辛い。
だから…」
ルイス「…」
アティ「だからそんな悪魔が居なくなって、魂だけになっても無事な世界になったら…分解してほしいな!なんて」
ルイス「んはは!そうだね。安定した世界になってからの方が良いだろう!
つまり私に悪魔始末のご依頼って事か?」
アティ「ルイスさんの超パワーならいけんじゃ無いかな?ってさ!まぁ死神達がなんか頑張ってるっぽいし、ただ待ってるだけでも私はいいよ。時々遊びに来てよ、あんたは話が出来るやつだ」
ルイス「あぁ…そうだね。家を失う可能性があるなら本気で対応するけどね…大変なんだよこれやるのさぁ…ふふ。まぁいい。了解了解…ならばアティティス君。君にはこの通信機を…」
アティ「“アティ”でいいわ」
ルイス「?」
アティ「貴方とは出会ったばっかりだけど、いい友達にはなれそう。だから通称でいいわ、ルイスさん」
ルイス「ありがとう、アティ。同じく私も“ルイス”でいいさ、やっぱりさん付けは慣れていない」
アティ「ふふ!やった!幽霊で初めてのお友達!…で?ツウシンキ…?」
ルイス「遠くでも会話が出来る代物さ。この世界ではまだ…開発されていないか」
アティ「ふぅん!ルイスは随分高レベルのとこから逃げて来たのね!今度その話も聞かせてよ!」
ルイス「あぁいいよ!じゃあアティ。改めてこれからもよろしくね」
アティ「えぇ、よろしくルイス」