深淵世界からR旋の世界へ向かう話
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といっても、音声文面データを含んだ、ただの“手記”だ
ここは深淵。光なき世界
かつて賑わっていた町も、気付けば遥か昔のように廃れた
俺たちは、俺たちらしく“モブ”に帰った
やがて“主人公”が世界を変えて、俺たちは忘れられていく定めだった。
そう。“だった”んだ
“主人公”は…多分光を砕いた
世界が静かになったからな
そこから…そこからどうなった?
気がつけば、深淵は佇んでいた
主役のいない舞台だ。
きっと“世界”は眠りについて
きっと“キャスト”は帰って行った
モブはモブらしく…背景へ…
なんて事は無かった
おかしいな?俺たちはここに居る
俺達は止まっていたはず。世界が寝ていたのだから
けれど寝ている間に、変化が一つ
深淵の下。アビスの麓。器の墓場…俺の故郷に、見知らぬドアがひとつ
「やぁ」
開けた先から、男が1人
見知らぬ装い。知らない種別。涙の香り
「…こんな深淵に何用だ?」
何となくわかった、この男は俺と同じ。
第四の壁を超えてくる者だ
「君達を…迎えにきたのだよ」
…迎え?何のことだかわからないな…
ただ…この“手記”に人が増えると、それだけでわかりにくくなる
「…貴方。名前は?…私はR」
ここは偽名で良い。初めから、名も無きモブなのだから
「…その流れで行くのであれば…Cかな?」
…面白いな、そう来たか
R「ではC、あんたは何処からの放浪者だ…?見たところ…ここの者じゃない」
C「ご名答。異界からの…侵略者…かもしれないねぇ」
R「…侵略…?」
C「この舞台を、買収しに来た」
R「…そいつは残念だな。この“話”は終わった。主人公はもういない。ここはイベントの終わったダンジョンでしかない」
C「では。何故君は動いている?」
R「………何を、知っている?」
C「君のような“器”は、役目を終えれば砕けて…ここにある闇と混ざっていくのだろう?」
………この男。我々を知っている。何故?
C「君も、君の半身も…その友達も…生きて、動いている」
R「…はぁ…思わせぶりはいらねぇな。で?俺らに何を求める。ただの“器”に…何の用だ」
C「ふふ。君の指名が入ったのさ」
R「……指名…?」
C「別の塔…うむ…ここで言う…“よその子”の【親】かね?そこから直々に、君らの指名が入った。故に…
君達が“新たな脇役”として選ばれた」
R「…キャスティングか…主役の代わりとしては…癖があるが?」
C「代わりにはならない、演じる必要もない。
君達が君達として生ていれば良い…そう…
“モブ”として…ね?」
R「…ふっ…あんたは“何”なんだ?主役か?語り手か?」
C「愚者で道化師…回し者であり…主役さ」
R「そいつぁすごい」
C「そして君も、主役となれる」
R「…は?」
C「あの世界には…正確な主役は居ない。誰もが皆“主役”で…誰かの“脇役”になり…誰かの“悪役”となる…」
R「…随分と…規模がでかそうだな…」
C「かつてのこの世界に近い所さ」
R「………そこで?」
C「ひと足先に、君の友が待っている」
男の出した紙には、かつて生を共にした子が写っている
R「レイ…」
C「私達のこの世界に…君らも来ないかい?彼はまだ…確立していない…何せ器を取り込んだ際にどうなるかの検証はしていないからね…
流石に“よその子”で試すわけにはいかないだろう…し、彼の親が…君を待っている
どうだい?…少し光に溢れすぎているかもしれないが…興味はないかい?」
…無い。といえば嘘になる。
この世界はほぼ、“終わり”を迎えた
新たなる土地に旅立てるのなら…それはこの上ない高揚感で満たされるだろう。
だが。しかし。
この世界を捨てる事は出来ない。
まだ…まだここにいるであろう…“友”はいる
…それに…“器”ではない生命が、世界を移動できるのか否か…
R「いくつか質問がある。それによって…どうするか決める」
C「いいだろう。時間は沢山あるのだから…」
そこから一通り聞きまくった。
男は…Cは複製が得意だと言った
俺も…この世界の生命体も、全部複製して連れて行ける…なんて語る
…それならばあるいは…
だが、俺だけで決める話では無い
C「構わないよ。いつでもいい。決まったら…この扉をノックしてくれ、すぐに向かう」
R「…わかった…なぁ、C」
C「コンラード。私の名前だ。ここまで来たのなら名乗るべきだろう。君の役者名も教えておくれ」
R「………rrro。だ。言えるか?」
コン「r…ろ…?…んん゛!!(咳払い)
…rrro君、だね?」
rr「おぉ!言えるのか!」
コン「…この世界で。ならね?“言って”いても正しい発音がわからないや…こちらで呼びやすい名前を用意してあげよう」
rr「助かる。…で、コンラード」
コン「何だね?rrro」
rr「お前からは随分と涙の香りがする…水が多いのか?濡れて冷たいのは勘弁だ」
コン「なみ…?ん?水???…まぁ…君が行く世界は時々濡れるかもだけど…寒くは無いよ」
rr「それはよかった。じゃあ…彼らを“起こして”聞いてくる」
コン「あぁ、良い回答を期待しているよ…」
…昔からそうだった
この世界は、俺達が世界(ゲーム)を閉じている間は眠っていた
眠っている間は時間は進んでいない
いや…進んでいても気にしない。の方が正しいのだろう。
世界を立ち上げ、ロードして、目を覚ますと
この世界は動き始める。
だからみんな、どれだけ長い間眠っていても平気なんだ
gg「…ふぁ…おはようrrro〜んぁーーめっちゃ寝た!」
黒rr「…ん?なんだ。俺も起きるのか」
rr「おはよう、gggo、黒。ちょいとばかし話がある…“昨日”って覚えてるか?」
gg「昨日……いやぁ…?」
黒「…あぁ、わかった。オレはあと聞いてる。時々口出すぜ」
rr「そうか。じゃあgggo。“光”ってどうなったと思う?」
gg「え…何怖…光…待って?!記憶が薄い!!!やだ俺も呼ばれてる?!感染してる??!?」
rr「“光”は、とっくのとぉ〜に砕かれたぜ」
gg「…え」
黒「お前は“器”じゃ無いからな、突然訪れた深淵に…微睡んだんだろう。あれから全員…眠りに落ちた」
gg「…一体…いつまで」
rr「さぁな、俺にもわからん。幸い俺らも眠れたようだ」
黒「じゃあ何故…オレ達は“目覚めた”?」
gg「め…目覚めない前提なんかよ…!!」
rr「…そう…このまま闇の帷が降り切っちまえば…俺達は常闇と一つになれた」
gg「……でも?」
rr「…新しい世界が、俺達を呼んでるんだ」
黒「…はぁ?こ…このコンテンツは終わっ…これgggoに話していいやつ?」
gg「駄目なのあるの?!」
rr「…もういいんじゃ無いかなぁ…メタくても…」
gg「めた?????」
rr「なんにしろ…えぇと…緋い巡礼者が居ただろ?あんな感じに世界を回っていけるみたい
新しい街に行って…そこで暮らしていく…って感じ!」
黒「成程。この世界はあともう沈んでいくだけだ…その話はいいな、罠でも先がある」
gg「…よくわからないけどみんなでお引越しって訳か?!ここも悪くは無いが〜新天地かぁ〜!可愛い子いるかなぁ〜」
rr「あぁ〜…gg…楽しそうな所…水をさして悪いんだが…
目が覚めたのは、俺達3人だけだ」
gg「…え」
黒「…ん?!何故だ??!誰かが起きれば世界は動くんじゃ無かったのかよ?!」
rr「そして、この街にいるのも、俺達だけだ」
黒「…オレ…達…だけ…?」
gg「…つーちゃんの…ちみつさんの家は?!
こっ…こっからそう遠くなかったよなぁ?!」
rr「もぬけの殻さ、どこもな」
黒「………し…」
rr「引っ越したんだ。死骸は無かった…つまり…
俺達がタイミングを逃して置いてけぼりってワケ」
黒「…お…」
gg「…ほ…本当に?????」
rr「あぁ!本当さ!ほらこれ、さっき異界に来ないか〜?って言った奴が持ってた絵」
黒「…レイじゃねぇか!!…若干知らん場所…?」
rr「そう、でも拠点は決まってないらしい。旅の途中だって
俺達が次の町に移住して大丈夫そうだったらレイ君も呼べるって言ってた」
gg「…て事は他の…他の子らも何処か旅の途中で…会えたらお誘いができる…?」
rr「そ、俺達のキャラバンに興味があればどうぞ〜って感じ!」
gg「…けど…」
rr「おう」
gg「…まだ…まだここで寝てる奴が居たらどうする…?俺は…俺にはお前らがいるから何とかなれる…その感じだと…器じゃ無いとこういったものを見つけるのは厳しい…
だが器っ子は基本引っ越し早そうじゃん…?
したら…」
rr「…それも…考えがあるそうだ」
gg「…俺がわかる範囲?」
rr「だといいけど。…その異世界から来た男は、複製が出来るって言ってたんだ
だから…ここで俺達“複数セーブ”してさ、片方をキャラバンに、もう片方を…もう一回眠らせようかなって思うんだ」
黒「データで分岐か…それならば…悪く無いな」
gg「せぇぶ」
rr「あー…お前は認識してないかもだがな…この世界…エンディングが複数あるんだ…
俺が見た中では…お前が死ぬのと…ドッペルゲンガーにやられるのと…あとつーちゃんが言ってた“俺”に会わなかった“お前”の世界は確認済みだぜ」
gg「何それ怖い!!!!!……俺が“今”でよかった…」
rr「ちなみにその“セーブデータ”も残してはある。“立ち上げてないから眠っている”けどな」
gg「んん…こんがらがって来た…」
黒「つまりお前は、今まで通り気にする事はない」
rr「言うなれば“次寝て、目が覚めた時にこの町にいたら、誰かが残っていた”って事になる
“眠る事なく、旅に出た”俺達は、キャラバンを率いて旅の途中さ」
黒「ま、今からじゃなくて、旅立つ前のデータでだろうがな」
gg「…とりあえず、ついていけばいいんだな」
rr「そこだ。そこが聞きたかったんだ。gggo
…いいやゴードン。お前はどうしたい?
俺は、キャラバンを率いて旅に出る
お前はどう…生きていく?」
gg「な…俺も…!…あぁ…そうだな…
ここには…家族の亡骸もある、溜め込んだ死骸のお宝も…お前の殻もある」
rr「溜め込んでんのか…」
gg「ったりめーだろ。俺の宝だぞ???
……けどよ…どっちか離れなきゃならねぇってんなら…死骸より生きてるお前らの方がいい
…それに、置いていかれたく無いし、置いていきたく無い。だから一緒に行く」
rr「…わかった。黒、お前は?」
黒「ん?オレに拒否権があるのか?」
rr「あるよ?選択権もね」
黒「オレはお前の影だ。お前の闇であり、お前の命。
よって、お前が良しとするものはオレも良しとする。つまり全部良い!!!行くぜ」
rr「っは!お前らしい」
gg「百合の間に挟まる俺」
黒rr「同一人物じゃぼけぇ!!」
rr「…て事で…満場一致でお引越しな!
色々準備とか…その他諸々分かり次第言うから、次の旅のための準備運動でもしときなよ」
gg黒「はーい」
そこから、何も無い世界で一通り準備した
gggoは荷物の整理、黒は…この世界に眠っている子はいないか…を粗探しした。いる訳はなかった。
コンラードの言うには…俺と黒は一つの体に2人入るらしい。「1人」と認識される
まぁ…昔はそうだったんだから仕方ない
どうやらコンラードが元々いた拠点にも「ファントム」って名前で影がいたらしい
だから適応がしやすいとの事、不幸中の幸いだな。
やがて…次の器が出来た。
世界に飛び込む準備が出来た
黒とgggoは扉の前にいる
…俺は合言葉の意味を書く。
“起きたら”男の言葉に「眠れたよ」と告げるように…
俺はベンチに腰掛けて、この手記を書き上げる。これがセーブだ
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