体を蝕む、菌類の様な“光”を殺すために、“闇”は作られた
正確に言えば、“闇”はずっと底にあった
アビスの麓、下の下。深い深い所で“闇”は眠っていた。
かつて生命は“光”を崇めて生きていた
“光”は生命を慈しんで、温もりを与えていた
けれどやがて生命は“光”に変わる“王”を生み出した
“王”の輝きは白く、白く白く美しく。
生命は“王”を崇める様になった。
崇められなくなった“光”は酷く激怒した
やがて“光”は生命を呪い。その身を焼き尽くす様に蝕み、己の従者になるように支配した
“王”はそれに対抗する術を探した
命を歪ませて力を得る方法
“光”とは違う“炎”を仲間に取り入れたり
生命を育み、多種多様の生命達を増やしたり…
けれど“光”には敵わなかった
だから、下の下。アビスの下に眠る“闇”を使うことにした
それでも“闇”は簡単には扱えなかった
体が無いから。
だから“王”は“闇”を入れる為の“器”を作った
“器”は“闇”を纏い、そして“闇”は“光”を飲み込んだ。
“王”は沢山の“器”を作り、失敗しては捨て、失敗しては捨て…やがて最高の“器”を作った
彼を【虚の騎士】として仕立て上げ、『騎士』は“光”を全て飲み込んだ。
『騎士』は“光”を殺す事は出来なかったが、それでも飲み込んで、そのまま閉じ込めた。
それで全て良くなった。
“王”はやり切ったのだ
“光”無き世界を作り上げたのだ
…しかしそれでも“光”は恨み続けた
『騎士』の中から蝕んで、“光”は溢れ出ようとした
だから“王”は『騎士』を、『騎士』ごと“光”を何処かに封じ込めた。
やがて『騎士』が壊れた時に、別の“器”が次の『騎士』になるようにと仕組みを作り
いつ封印が解かれるか恐れながら、生命は生きていった…